RCGS Collectionにおけるパッケージ画像の表示精度についての方針

 

1. 概要

 2023年3月17日より、RCGS Collectionにおいて、ゲームのパッケージ画像の表示をできるようにしております。この画像の表示の精度は一律に162,000画素(画像により若干の誤差はあります)としております。パッケージに描かれている絵画的表現は著作物であり、その画像をオンラインで公衆に提示することは、著作権法上の公衆送信権(著作権法23条1項)の対象となる行為です。しかしながら、上記のような態様での提示については、同法47条の5の規定により、著作権侵害にならないものと考えております。
 同規定による著作権の制限を受けるためには、所定の要件をすべて充足する必要がありますが、これらのうち特に重要なのは、所在検索結果の提供(同条1項1号)の目的上必要と認められる限度であること、当該行為に付随した軽微なものであること、及び著作権者の利益を不当に害さないこと、の3つと思われますのでこれらについては以下において詳細に説明します。

 

2. 必要と認められる限度であること

 ゲームのパッケージがどのようなものであったかということは、それ自体ゲームアーカイブないしゲーム研究の上で重要な情報であり、どのような事物がどのように描かれているかを把握するためには、一定の鮮明さが必要となります。文字情報については、パッケージに表示された細かな文字の一つ一つが鮮明である必要まではないものの、それら文字列が表示されている位置のみならず、どのような項目が記載されているのかが大まかに把握できる程度の鮮明さは必要であると考えます。
 ゲームのパッケージ画像は多様であり、その情報の密度についてもまた多様なものではありますが、RCGS Collectionにおいては、大量のゲームに関する情報を搭載する必要上、画像の精度については一律のものとせざるをえません。したがって、表示の精度についての基準は、一般的・類型的にパッケージ画像が必要な鮮明度で提示できるようなものである必要があります。162,000画素というのは、一律にパッケージ画像の全体を表示するために必要と認められる限度を超えない範囲のものであると考えます。

 

3. 所在検索結果の提供行為に付随した軽微なものであること

 RCGS Collectionにおけるゲームパッケージの画像は、当該ゲームについての様々な書誌的情報の一つとして提示されるものであり、その画像を単独で提示することを目的とするものではありません。したがって付随性の要件は充足されると考えます。
 また、軽微性については、「当該公衆提供等著作物のうちその利用に供される部分の占める割合、その利用に供される部分の量、その利用に供される際の表示の精度その他の要素に照らし」判断されることになります(同条1項)。パッケージ画像については全体を提供する必要がありますが、それはパッケージ画像が商品本体であるゲームの紹介や販売促進の目的のために作成され、そのような目的での利用が本来想定されているという、パッケージ画像固有の事情によるものであり、このことは「その他の要素」として考慮されるべきものです。「その利用に供される際の表示の精度」については、次の4.で述べる通り、特段の事情がない限りは著作者の利益を不当に害するものではない精度であるといえます。これら2要素に鑑みれば、軽微性の要件も充足されると考えます。

 

4. 著作権者の利益を不当に害さないこと

 著作権者の利益を不当に害するか否かについては、「当該公衆提供等著作物の種類及び用途並びに当該軽微利用の態様に照らし」判断されることになります(同条1項)。すでに述べた通り、パッケージ画像は商品本体であるゲームの紹介や販売促進の目的のために作成され、そのような目的での利用が本来想定されているものであり、商品を紹介する際には当然にその全体が提示されるものです。現に、オンラインの通販サイトにおいては、パッケージ画像の全体が表示されており、多くの場合、その精度は、162,000画素を超えています。
 また、そもそもパッケージ画像はそれ自体単独で販売されることは通常想定されておらず、したがって画像の利用ごとに収益を上げるという性質のものではありません。画像作成にかかる費用は、商品本体の売上から回収されるものであると考えられます。仮に画像が単独で提供されることがありうるとしても、162,000画素という精度は、一般的に壁紙として利用される画像の精度よりも低いものであるうえ、多くのケースにおいてより鮮明な画像がオンラインの通販サイトから入手できる状態になっております。また、RCGS Collectionにおけるパッケージ画像の提供が、販売中のゲームの売上に負の影響をもたらすとも考えられません。
 以上の事情を踏まえますと、パッケージ画像が第三者の著作権を侵害して作成された等の特段の事情が認められない限り、著作権者の利益を不当に害するものではないと考えます。

 

5. 連絡先等

 RCGS Collectionにおけるパッケージ画像の提示の方針は以上の通りです。上記4.で述べたような特段の事情がある等の理由で、RCGS Collectionにおける個別のパッケージ画像の提示についてご意見・ご要望のある著作権者の方は、下記までご連絡ください。

〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1
立命館大学ゲーム研究センター
E-mail: rcgs [at] st.ritsumei.ac.jp